洗礼を受けたゲーム
小学生の頃。
インベーダーが社会現象的に流行った。
当時は100円だったし、お金もってないしで、ほとんど遊んでいない。
プレイすると、面白いとは思えなかったのだけど「やりたい」とは思った。
「面白くない」のに、なぜ「やりたい」と思ったのだろう?
それは「見たこともないモノに大事なお金を使う」というある種の背徳感に脳みそが痺れていて、その痺れた感覚を味わいたいというのがあったのかなと。
ゲームが面白いから「やりたい」のではなく、ようするに「お金を無駄遣いする」感覚が面白かったのだろうなと。
当時はそんな分析できなかったので「面白いからやりたいんだ!」とずっと思ってた。
で、遊んでみると、面白くない。
面白くないけど、やりたい。でも、お金がかかる。
お金ないからやめよう。
お使いのオツリをごまかしてお母さんにも怒られたし。
そんな子供が、ある日、近所の電気屋でパソコン(マイコン)を見る。
「タイプライター?」
「テレビがついてる?」
「でも、テレビに出てる人がいない?」
今でも覚えている。これが最初の印象。
モニタには小さい人型の何かが写っていた。
矢印のついたボタンを押すと、左に動く。
「おぉっ!なんだこれ!」
「テレビに出てる人がいなくて、人形みたいなのがいて、動く!」
「動くぞ!」
ガンダムに初めてのったアムロの気持ちはこうだったのかなと思ってみたり。
とにかく、私はテレビには芸能人とかNHKの人しか映らないと思っていた。
でも、そうではないモノが写っており、動かせる。
これがファーストインパクト。
その人形は坂をのぼっていった。
坂の上からは丸太がころがってくる。
ぶつかって、ゲームオーバーと出る。
もう一度、やってみる。
ボタンを適当に押してたら、人形がぴょこんと上にあがった。
「ジャンプした!」
「これで、丸太をよけれる!」
「よっしゃ!こえた!楽しい!」
これがセカンドインパクト。
本もあったので、手に取って見てみると、
この機械でゲームをつくれるということがわかる。
「え!?自分でゲームつくったら、ただでゲーム遊べるじゃん!」
これがサードインパクト。
この三連コンボがきっかけで、今の私がいる。
洗礼とは、ゲームをつくることになったきっかけ。
私にとって、それはMZ-80Bの店頭にあったデモゲームだった。